精神遅滞児におけるEgo Strengthに関する研究 : R.P.R.S.得点の分析から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
精神遅滞児におけるEgo Strengthを、ロールシャッハ法におけるR.P.R.S.で測定し、正常児との比較から実験的に検討した。実験群は軽度精神遅滞児27名から構成され、対照群として、暦年齢がマッチングされた正常児27名から構成される群と、精神年齢がマッチングされた正常児18名から構成される群とがそれぞれ設定された。結果は以下のとおりであった。(a)精神遅滞児群は正常児群に比較して、R.P.R.S.総得点において、有意に低い値を示していた。特に、暦年齢マッチング正常児群との差が大きい傾向にあった。(b)R.P.R.S.のカテゴリー得点においては、正常児暦年齢群と比べては6カテゴリー全てについて、また、正常児生活年齢群と比べては3カテゴリーについて、遅滞児群の値は有意に低い傾向を示していた。(c)最終的R.P.R.S.得点の段階別度数分布から、正常児2群に比べて、遅滞児群は低得点段階により多く分布する傾向が認められた。また、分布幅はより大きかった。(a),(b),(c)から、精神遅滞児のEgo Strengthは、正常児のそれよりも劣性にあると考えられ、特に、この傾向は、同暦年齢水準の正常児との比較において言えるが、同精神年齢水準の正常児との比較にもあてはまると考えられる。自我の機能を要素的にみると、遅滞児は全般的に機能の劣弱性が認められ、特に、暦年齢を同じくする正常児との比較でその傾向があてはまることが示唆された。さらに、遅滞児では強い自我を有するものはごく少く、個人差も大きい傾向がみられた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1977-03-15
著者
関連論文
- 測定・評価(601〜606)(部門別研究発表題目・討論の概要)
- 602 ロールシャッハ・テストの初発反応時間の検討 : 正常児に対する脳性マヒ児, 精薄児の比較
- 精神遅滞児におけるEgo Strengthに関する研究 : R.P.R.S.得点の分析から