精神薄弱児の弁別学習に関する研究 : 刺激次元への注意の効果を中心として(その2)
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概要
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実験Iでは、形を優位次元とする被験児に形を適切とした2次元2価の弁別課題を課した場合の成績と、色を適切とした2次元価の弁別課題を課した場合の成績を、精薄児と正常児で比較した。その結果、両被験児群とも前者(優位群)の方が後者(非優位群)より成績がよく、優位群では正常児群と精薄児群では差がみられなかったが、非優位群では精薄児群が有意に低い成績を示した。実験II、IIIでは、非優位次元を適切とした場合に精薄児の学習が遅れるという実験Iの結果の原因の検討を試みた。実験IIでは、実験Iの精薄非優位群の学習不能者に弁別課題の下位問題と思われる3つの課題を課し、その成績を比較検討することにより、どのような能力が相対的に強い影響を弁別学習過程に及ぼしているかを検討した。その結果、1つの刺激図形内の2つの次元に気づくことができないことの影響が大であることが明らかになった。実験IIIでは、弁別課題を課す前に、精薄児に2次元の刺激図形の2とおりの分類訓練を課すことにより、弁別課題の成績に対する分類訓練の効果、ひいては、2つの次元に気づくことによる効果を検討した。その結果、訓練期間が短かかったため、有意な効果は認められなかったが、傾向としては、実験IIの結果を裏付けしていた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1975-06-01