吃音に対する聴覚遅延フィードバック効果の症例的研究
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概要
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4人の成人性吃音者を対象に、吃音に対する聴覚遅延フィードバックの効果について分析し、つぎの結果を得た。1 DAF効果検査におけるDAF条件下のスピーチは非流暢性が顕著に減少していたが、発音、強勢、抑揚速度などが不自然なために違和感の強いスピーチであった。2 DAFスピーチの後にDAF条件をとり去って正常なフィードバック条件に戻したときのスピーチでも非流暢性が顕著に抑制されていた。しかもそれはDAF条件下のスピーチのような違和感がなく極めて流暢なスピーチであった。3 DAFスピーチの直後に得られる流暢なNAFスピーチの体験を積み重ねることによってそれを定着させれば吃音を治癒し得るであろうとの仮説をたて、DAF長期訓練を行なった。各セッションの手続きは"数分間のDAFスピーチ→数分間のNAFスピーチ"を数回繰り返すことであった。その結果非流暢性の減少したスピーチが定着し、吃音の治癒または著しい軽減がみられた。その過程をみると遅延時間が比較的長い初期の数セッションにおいて非流暢性の減少が著しかった。4 DAF訓練終了の12〜18ヵ月後の追跡調査においてもその効果は維持されていた。
- 1974-12-06