竹林の分布拡大は地形条件に影響されるのか?
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概要
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管理放棄された竹林が分布を拡大し、周囲の二次林や人工林へ侵入しているという報告が多数ある。そこで我々は、竹林の適切な管理や竹林拡大予想のための基礎的な情報である竹林の分布拡大と地形[斜面凹凸度(尾根、斜面、谷)と斜面傾斜(平地、緩傾斜、急傾斜)]の関係の解明を目指した。調査は熊本県戸島山で行った。1982年と2003年時点での戸島山南部分約13haの植生図を、空中写真解析、現地踏査、聞き取り調査により作成した。この植生図にグリッドサイズを10m×10mに調整した方眼網をオーバーレイし、各グリッドについて竹林の分布のある/なしを決定した。また同様に2千5百分の1の地形図に10m×10mに調整した方眼網をオーバーレイし、各グリッドの地形的属性[斜面凹凸度(尾根、斜面、谷)と斜面傾斜(平地、緩傾斜、急傾斜)]を決定した。そしてこれらのグリッドデータを用いて1982年から2003年の間の竹林の拡大のある/なしと地形的属性の関係を解析した。統計的解析には、空間的な自己相関を考慮した竹林分布拡大のコンピューターシミュレーションを行い、このシミュレーションで導出された分布拡大と地形の関係を、竹林が集中性だけを保ち、地形とは独立に分布を広げた場合の帰無分布として用いた。その結果、竹林の拡大は斜面凹凸度では斜面で、斜面傾斜では平地で有意に早く、尾根地形および急傾斜地で有意に遅いことが分かった。したがって、竹林管理では、拡大速度が速い斜面および平地を優先的に管理することで、竹林の拡大を効果的に抑えることができることが分かった。
- 2008-05-30