イスラームにおける「自己を知ること(ma'rifat an-nafs)」 -M.モタッハリーの完全な人間(ensān-e kāmel)論-
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概要
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モルタザー・モタッハリー(1920-79)は、1960年代から70年代にかけて、広範な文筆、講演活動によって、イスラーム革命のイデオローグとしてよく知られている。平易な文体と巧みな話術によって多くの読者・聴衆に影響を与えた。本稿では彼の倫理思想を解説した。彼によれば、「自己を知ること(ma'rifat an-nafs)」がイスラーム的倫理の究極目的とされるが、その根本に神を知ることがあった。モタッハリーの議論の特徴として、(1)批判の対象である西洋の近代哲学思想に通暁している点、(2)その哲学的議論は、決して空理空論ではなく、彼の生きた時代を反映しており、時代が抱える問題群に何らかの解決策を与えることを意図している点、(3)特定の国と時代のみならず、彼の議論は近代社会が直面する問題群(特に物質主義がもたらす問題)を考察するたたき台を提示する点、を指摘している。
- 同志社大学の論文