「レスピラチン」ノ本體

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著者ハ喜多尾氏カ純レスピラチン」トシテ隈川博士及川上氏へ寄贈セラレタル標本ヲ試驗シタル結果右ハ何レモ酸性グアヤコールカリウム」及中性グアヤコール、カリウム」ノ混合物ヲ主成分トシ他ニ夾雜成分トシテ炭酸カリウム、硫化カリウム及或ル硫黄含有物質ノ痕跡ヲ含ム製品ニシテ其硫黄總量ハ〇、八八三%及〇、五%以下ナルコトヲ確メタリ尚喜多尾氏ノ特許ニ係ル製法ハ今ヨリ既ニ五十年前Hlasiwetz及Barth兩氏カ「クレオソート」ニ就キ適用シ成書ニ記載シタル方法ニシテ敢テ發明ト稱スルヲ得サルコトヲ注意ジ又喜多尾氏カ藥學雜誌ニ報告セラレタル純レスピラチン」ハ「クレオソール」ヲ主成分トシ鑛酸ニ由テ鉛糖紙ヲ黒變スル蒸氣ヲ發生シ硫黄ヲ析出スルニ反シ上記二種ノ標本ハ「グアヤコール」ヲ主成分トシ且ツ鑛酸ニ對スル同反應ヲ呈セサルハ畢竟純レスピラチン」ノ原料ハ製品ニヨリテ相異アルヲ示スト同時ニ硫黄化合物ノ存否ニ關シテモ製品ノ異ナルニ從ヒ不同アルヲ證スルモノニシテ藥化學上ヨリ觀タル純レスピラチン」ハ其原料タル「フェノール其物ト大差ナク有効成分含量ヲ明記セサルハ寧ロ醫師ヲシテ處方ニ不便ヲ感セシムルノ欠點アリトナシ市塲ニ販賣セル「レスピラチン」ハ純レスピラチン」ノ僅ニ一%以下ヲ含有スルニ過キサル乳糖製劑ナリト結論セリ
1910-02-26

著者

石津利作
衛生試驗所

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