文化の構築 : 接合と操作(<特集>ポリティカル・エコノミーと民族誌)
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概要
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従来の民族誌に対して,その本質論的概念化や語りに批判が向けられている。本質論批判には,集団のアイデンティティを形成・維持するという広義の政治的・意図的な文化の扱い,すなわち操作的客体化論という観点からの批判および文化の構築という立場がある。それは「存在論」的な文化の扱いであり,「民族」の主観的構築に対応するものでもある。しかし,客体化ということをより原理的にとらえるならば,そもそも文化とは常に客体化されて創り出され,動態的なものである。操作的な客体化と原理的な客体化との違いは,それぞれ文化の断絶と文化の連続という歴史観の相違を反映している。後者は,文化形成における外部の文化要素を考慮すると文化の接合という視点をとる。文化というものが(特定の人々の)ディスコースのみではないという立場をとるならば,この接合の構造,とくに内部からの外部の文化の読み換えによる編入というアプローチが有効である。
- 1997-03-30
著者
関連論文
- 清水昭俊編, 『思想化される周辺世界』, 岩波講座, 文化人類学, 第 12 巻, 初版, 東京, 岩波書店, 1997 年, 頁, 3,200 円
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- 風間計博著, 『窮乏の民族誌-中部太平洋・キリバス南部環礁の社会生活』, 岡山, 大学教育出版, 2003年, 325頁, 7,000円(+税)
- 「文化の翻訳」論から「翻訳の文化」論へ : 鈴木紀氏の書評に応えて
- 黒田悦子 編, 『民族の出会うかたち』, 朝日新聞社, 朝日選書516, 1994年, 361頁, 1600円