「現地」の人類学者 : 内外の日本研究を中心に
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概要
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概して西洋の人類学者と「現地」の人類学者の関係は芳しくない。本論ではその理由を個人的感情ではなく,人類学的知の構造そのものに求める。これまで「現地」の人類学者が蔑まれ周辺的役割しか果たしてこなかったのは,英米仏の三国が人類学の「世界システム」の中心に位置し,望ましい知識の基準を設定してきたからである。また民族誌的表象は,一般に書き手と読み手が同一の言語文化圏に属しているため,仲間内の世界を形成しがちで,表象の対象である「現地人」は,その存在を前提とされているが,対話の相手としては排除されている。こうした排除を可能にしてきたのは,近代植民地主義における西洋の覇権である。しかしポストコロニアルの時代を迎えた今日,「現地」は単なる研究対象ではなく,自らを自らの言葉で語る情報の発信源でもある。今後「現地」と「非現地」の対話を促進するためには,民族誌的表象を「開かれた」ものにする必要がある。
- 日本文化人類学会の論文
- 1997-03-30
著者
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