カナダにおける表現の自由と著作権
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概要
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近時、デジタル技術の発展が目覚しいが、それは同時に著作権侵害を拡大した。これに対して各国は、そうした被害に歯止めをかけるため、著作権保護立法を強化している。ところが、こうした著作権保護立法の増加は、表現の自由に影響を与える。パブリックドメインが狭小化し、翻案物の作成等に制限がかかるからである。このような状況において、最近になってようやく憲法学は関心を払い始めているが、それはなおアメリカを中心としたものにとどまっている。そこで本稿では、アメリカの議論を参考にしながら、カナダに焦点を当てて、表現の自由と著作権の関係について検討することにする。具体的には、カナダにおけるこの問題に対する調整方法を考察しながら、表現の自由に対する配慮が十分かどうかを検討し、アメリカの議論も参考にして調整のあり方を模索する。まず、カナダにおける表現の自由と著作権の関係に対する立法府の対応を考察する。つぎに、それを基にして、司法府がいかなるの対応をしているのかを明らかにする。そして、司法府の調整原理に問題があることを指摘しながら、最後に、表現空間等の議論を用いながら、あるべき調整の姿について検討を行う。
- 2007-03-31