NPOにおける結社の自由と内部自治 : 政党との比較を通して
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概要
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大学や政党など「自律的法規範」を有する団体においては、憲法第21条の「結社の自由」により、一定の対内的統制権が認められている。ただ、団体それ自体の内部自治を強く保障することは、団体に属する構成員の自由や、当該団体の存在によって支えられる民主的市民社会にも消極的な影響を与えうる。このような点を踏まえて、憲法学では、議会制民主主義の存立に不可欠な「政党」の自律性について活発な議論を行い、その自律性に一定の限界を認めてきた。このような状況に対し、現在の市民社会を支える上で重要な存在となりつつあるNPOの自律性については、憲法学はそれほど議論してこなかった。そこで本稿は、NPOと「結社の自由」との関係、NPOに認められる自律性の範囲について憲法学的に論じたものである。本稿は、かかる考察を、政党とNPOとの比較を通して行っている。それによれば、二大政党制下における政党が民意を「集約」する役割を負うのに対し、NPOは、そこで集約されなかった細かな民意を「反映」する役割を負うものと位置付けられた。従って、本稿においては、NPOの自律性は、その多様性を維持するという観点から、政党以上に強く保障されるべきとの見解に達している。本稿は、さらに、判例等の分析を通して、NPOにおける内部処分に対する司法審査の在り方などを検討している。本稿は、憲法学における結社論あるいは「部分社会論」に関して一定の示唆を与えるだけでなく、NPOの運営実務についても一定の役割を果たすであろう。
- 尚美学園大学の論文
- 2004-09-30