アジアにおける新産業育成政策とベンチャー企業の集積 : 韓国と台湾の事例研究
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概要
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本研究は、韓国と台湾における新産業育成のための政策、および、その後の展開を比較検討している。それによって、両国間におけるベンチャー企業の集積やクラスター形成への発展を促すプロセスの相違点と課題を明らかにし、クラスターを形成するための諸要件について先行研究と比較しながら検討を加えている。その結果、ベンチャーの輩出や集積を目的としたイノベーション・クラスター政策は課題が多く、特に、中核となる企業の存在や市場の確保を取り組んだ上での政策展開が必要であることが明らかとなった。韓国の大徳バレーではそれらの問題点を企業家活動やコミュニティ活動によって解決しようと、いくつかの企業が主体となりネットワーク作りのための場の提供や市場確保のための具体的な活動への取り組みが活発であるが、構造的な問題を克服するまでには至っていない。一方、台湾は、研究者や創業者による柔軟、かつ、有機的な行動によってスピン・オフによる起業が活性化し、クラスターを形成することができたが、主軸産業の景気動向によって全体が左右される問題を抱えていることを明らかにしている。
- 国際ビジネス研究学会の論文
- 2007-09-30