研究開発機能の対外直接投資と投資受入国に内在する技術の獲得 : 日本製薬産業に関する実証分析
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概要
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本稿は企業の研究開発機能の対外直接投資と、投資受入国に内在する技術の獲得の関係性について、企業、および特許レベルの分析を行う。技術のスピルオーバーの地理的範囲、および投資受入国における現地研究者のコミュニティへのアクセスに関する議論に着眼し、特定国における研究開発拠点のプレゼンスの変化、および投資受入国の現地研究者の自社への取込みと、同国に内在する技術の獲得の関係性について検討する。1975年から2005年までの日本製薬企業38社とその全米国特許8746件を用いた分析の結果、研究開発機能の対外直接投資が国境という技術スピルオーバーの地理的範囲の制限を乗り越える手段として機能し得ること、そして投資受入国の現地研究者の取込みがその関係性を部分的に媒介することが明らかになった。さらに、本国よりも技術的に優れた投資受入国に内在する技術を活用する研究成果ほど、その価値が高まることが明らかにされた。このことは本国が技術的に劣位にある状況において、技術的に優位な他国への研究開発機能の対外直接投資が本国の技術的劣位環境を克服する手段として機能し得るという技術獲得型の直接投資に関する主張と歩を一にするものである。
- 国際ビジネス研究学会の論文
- 2007-09-30
著者
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