高橋五郎『[和漢/雅俗]いろは辞典』の資料性
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概要
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本稿は、主に「語を単位」とした語釈が配置されていると考えられる『[和漢/雅俗]いろは辞典』(以下『いろは辞典』)を観察し、明治期語彙研究資料としての『いろは辞典』の有用性を述べることを目的とした。和語・漢語項目共に最も多く観察できた「語釈」のかたちは「見出し項目-漢字列(=漢語)-和語釈義」であった。これは漢語には和語を、和語には漢語を配置しているとみることができ、書名の「和漢」につらなる方針と考えられる。また、漢字列に「漢語」が配置されたということは、明治期においてはそれが最も自然なかたちであったからと考えられる。明治期非辞書体資料に現れる漢字列と振仮名をそれぞれ語と認めたとき、『いろは辞典』の「見出し項目」と「語釈」として「循環」することが見いだせた。これらは「結合」を有していた二語であると考えることができ、明治期の語(や語彙)を考える際に『いろは辞典』が有用であると考えられる。
- 2007-10-01