窒素酸素潜水の減圧時間短縮および減圧症予防効果に関する実験的研究
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概要
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潜水深度20m,30mおよび40m,在底時間60分とする圧暴露プロフィールにおけるchamber diveを行い,酸素濃度が40%および32.5%の窒素-酸素(Nitrox)潜水と空気潜水の浮上後の気泡出現率と減圧症罹患率を比較した.深度20mでは,空気潜水および空気潜水の総減圧時間が11分に対して2分であった60/40 Nitrox潜水,いずれも気泡出現例,減圧症罹患例はなかった.深度30mでは,60/40 Nitrox潜水の総減圧時間は空気潜水の35分に対して10分としたが,気泡出現率はNitroxが33%(1/3),空気が66%(2/3)であり,減圧症罹患率はNitroxが0%(0/3),空気が66%(2/3)であった.また,同一深度における67.5/32.5 Nitrox潜水では,総減圧時間を30分としたが,気泡出現例と減圧症罹患例はなく,これに対する空気潜水では気泡出現率,減圧症罹患率ともおのおの66%(2/3)であった.深度40mでは,67.5/32.5 Nitrox潜水の総減圧時間は空気潜水の127分に対して80分としたが,Nitrox潜水では気泡出現例と減圧症罹患例はなく,空気潜水では気泡出現率,減圧症罹患率ともに33%(1/3)であった.以上の実験結果から,潜水深度20〜40mの範囲ではNitroxを使用することにより,減圧時間を短縮することが可能であるとともに,減圧症の予防にも有用であることが知られた.
- 社団法人日本産業衛生学会の論文
- 1993-07-20
著者
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