標準化活動におけるパテントポリシーの役割
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
技術標準の作成において,その標準に含まれる知的財産の権利保護と,標準利用者側の便益とのバランスは,標準を策定する上で避けることのできない問題であり,近年,標準化活動における知的財産の取扱は重要度を増している。こうした標準化と知的財産権の問題解決手法として,多くの国際標準化機関において制定された,標準を作る際に特許等の知的財産をどのように扱うかを定めた,いわゆるパテントポリシーに注目が集まっている。2005年2月,国際標準化機関の代表であるIS0,IEC,ITUが,このパテントポリシーの統一整備活動を開始した。これは,いわゆるホールドアップ問題の発生をできるだけ防ぎたいという,メンバー各国の強い要請によるものである。しかし,本当にパテントポリシーはホールドアップの防止に効果的なのであろうか。パテントポリシーを整備し,厳格に運用することで,全ての特許を発見でき,ホールドアップ問題を解決できるのであろうか。本稿では,このような視点からパテントポリシーの有効性について検討を行い,パテントポリシーの本質的価値は,関連特許を発見することではなく,ホールドアップを起こす可能性のある者に対する抑止効果であることを指摘した。
- 2008-03-14
著者
関連論文
- 事業戦略ツールとしての標準化(2007年映像惰報メディア学会冬季大会特別企画シンポジウム)
- コンテンツ課誕生
- 標準化活動におけるパテントポリシーの役割
- 技術標準・安全規格と法律(エンジニアが関わる法律,機械技術者に役立つ法と倫理)
- 工業標準化政策の変遷と基準認証政策(技術標準化の戦略的側面)