消化管間質性腫瘍(GIST)についての文献的考察
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概要
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GISTは,消化管間葉系腫瘍としては最も多く,筋層神経叢のカハールの介在細胞と同じ前駆細胞から生じる。わが国では検診が普及しているため,再発あるいは切除不能例に加え,切除後再発をきたさない例,切除対象とならない例を含めると,実際の発生頻度は海外のデータよりもかなり高いと予想される。転移や不完全切除例は予後不良であるが,原発性GISTの良悪性を確実に分類することは困難である。基本的に,GISTはすべて悪性のポテンシャルを有するというのが最近の考え方で,腫瘍径と病理組織での核分裂像数を組み合わせたリスク分類が提唱されている。わが国では超低リスク,低リスク,中リスクが多く,8〜9割以上で根治術が可能であり,再発率も低い。進行・再発例で,分子標的薬であるイマチニブは無進行再発期間を約2年,全生存を約5年延長したが,現時点では完全寛解は期待できず,根治も望めない。
- 日本保険医学会の論文
- 2008-03-17