ハンナ・ヘーヒの『民族誌博物館から』シリーズについて : 女性性と批判性
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概要
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本稿はドイツの女性芸術家ハンナ・ヘーヒの1920年代中期・後期の作品、フォトモンタージュのシリーズ『民族誌博物館から』を扱う。まず、シリーズ以前の女性を扱ったダダ初期のフォトモンタージュが市民的結婚制度における男女の葛藤を表現していることを述べる。シリーズが個としての女性性が批判的に表現されているという特徴を持つことを述べた後に個別作品に当たって検証する。ヨーロッパ白人の若い女性の体に異文化のテラコッタのマスク、女優の顔にコラージュされたアフリカのマスク、アフリカの木彫り彫刻と女性の顔あるいは脚とのコラージュを紹介しながら、異文化による違和感(ショック、笑い、おかしさ、憂愁)を惹き起こす接合を作るグロテスクな手法は、伝統に反すること、辻褄の合わないこと、矛盾に満ちたことを好み、それに飽くまでもこだわるのは、ダダ運動から離れてもなお手放さなかった姿勢であることを確認する。
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