南米パタゴニアの第三紀植物化石からみた気候と植生の変遷(日本植物分類学会第6回新潟大会公開シンポジウム講演記録「新生代の地球環境変遷と地域フロラの分化プロセス」)
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概要
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南米大陸は,ジュラ紀中期に南半球に存在した巨大なゴンドワナ大陸が分裂したことにより形成された.ゴンドワナ大陸は,まずアフリカ-インドのブロックと南米-南極-オーストラリアのブロックとに大きく分裂し,さらに,南米と南極-オーストラリアの部分が分裂し,第三紀治新世にはオーストラリアと南米と南極の間にある大陸棚が分裂した.これらの大陸の分裂によって海流が変化し,南極大陸を周る寒流が生まれた.この周南極海流によって気温が著しく下がり,最終的には南極に氷河氷床が形成され,さらに地球規模での寒冷化が進んだとされている(Zachos et al. 2006など).南米の植生は,このゴンドワナ大陸に存在した古植物相を元にして,大陸分裂やアンデス造山などの地殻変動および,氷床形成,周南極海流やフンボルト海流の成立などによる気候変動などの影響を受けて成立してきた(西田2001, Ortiz-Jaureguizar and Cladera 2006など).南米の現植物相の成因を理解するためには,ゴンドワナ大陸時に近くにあったパタゴニア南部と南極半島との白亜紀以降の植生変遷を明らかにする必要がある.それによって,地球規模での気候の寒冷化に伴う植物相の南極から南米への退避過程について明らかになると考えられる.本稿では,科学研究費補助金(N0.14255007:西田沼文代表)による海外学術調査の木材化石の研究成果(Terada et al. 2006a, b, c, Nishida et al. 2006)を元に,さらに継続研究(No.18405013)による2007年1月実施した調査の成果も含めて,近年,データが蓄積してきた南極半島周辺諸島の木材化石群集との比較から,今後の研究の可能性について言及する.
- 2008-02-20
著者
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