カリフォルニア州のキリスト教系大学に在学する日本人留学生の宗教観の変化に関する,グラウンデッド・セオリーを用いた質的研究
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概要
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グラウンデッド・セオリーは,グレイザーとストラウス(グレイザー&ストラウス、1996)によって創始され、社会現象に関する質的なデータの収集とその分析を通じ、現実に根ざした理論の生成を目指す研究方法論である。本研究ではその研究方法論を用い、まずカリフォルニア州にある某キリスト教系大学で学ぶ日本人留学生の総数の約三分の一に当たる10人の学生に対して、オープンエンデッド・クエスチョンを用いたインタビューと、彼らの置かれた修学環境や、宗教的環境、また他の宗教者との関係性等の観察を実施し、それらを質的データとして収集した。そのデータを、宗教社会学者Lewis R. Ramboの「Theory of Religious Conversion:改心の理論(1999)」や、他の理論と比較しつつ分析を行った。日本においては、無宗教者、嫌宗教者を自認していたこの10人は、米国留学における社会体験と、様々なキリスト教徒との出会いにより、宗教、特にキリスト教に対する印象や考えをポジティブな方向へ変化させるに至った。ある者の宗教全般に対する感情は、懐疑から好感に変化し、またある者は大学のクリスチャン・サークルにおいて積極的な協力者となった。データの分析により筆者は社会学的、宗教学的観点から、劇的な社会環境の変化と、その中で体験した、キリスト教徒との暖かい個人的な遭遇が、彼らの宗教観に非常に大きな影響をもたらしたのではないかという結論に達した。
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