γ-アミノ酪酸受容体およびニコチン受容体と殺虫剤の相互作用(<特集>農薬活性分子の作用機構研究に関する最近の進歩)
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概要
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殺虫剤結合部位には多様な化学構造を持つ化学物質と相互作用するものと類似構造を有する化合物しか認識しないものがある.ヒトγ-アミノ酪酸受容体β3ホモ五量体は,非拮抗的遮断薬(NCA)への感受性において昆虫受容体に酷似する.そこでスキャニング変異によりイオンチャンネルに内向し結合部位を構成するアミノ酸(アラニン-2',スレオニン-6'およびロイシン-9')を特定し,分子モデルを構築した.その結果,化学構造の異なるNCAと標的部位の結合は主にアラニンおよびスレオニンとの相互作用に帰属可能であり,さらにロイシンは補完的に関与することが示された.ニコチン受容体とアゴニストの相互作用をアセチルコリン結合タンパク質(AChBP)を用いたネオニコチノイドの光親和性標識により研究した.この結果を基にネオニコチノイドの受容体への効果と選択性を定義する分子モデルを樹立した.このモデルより,ネオニコチノイドのクロルピリジンの塩素はAChBPのイソロイシン-106とメチオニン-116に,窒素は溶媒を介してイソロイシン-118/トリプトファン-147とコンタクトしており,グアニジン/アミジン平面はチロシン-188とπ-スタッキングし,ニトロ/シアノ基はセリン-189/システイン-190と相互作用することが明らかとなった.
- 2008-02-20
著者
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冨澤 元博
岐阜大学
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CASIDA John
Environmental Chemistry and Toxicology Laboratory, Department of Environmental Science, Policy and M
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冨澤 元博
Environmental Chemistry and Toxicology Laboratory, Department of Environmental Science, Policy and M
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Casida John
Environmental Chemistry And Toxicology Laboratory Department Of Environmental Science Policy And Man
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Casida John
Environmental Chemistry And Toxicology Laboratory Department Of Environmental Science Policy And Man
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