中国学園における禁煙医療支援 : 平成17年度の取り組みを中心に
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概要
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「メタボリックシンドローム」とともに「喫煙」による健康障害(被害)が国内だけでなく世界中でも大変深刻な問題となっている。WHO(世界保健機関)では,「タバコは,病気の原因の中で,予防できる最大の単一の原因」としている。日本人の喫煙率は特に男性で非常に高く,未成年者や妊婦の喫煙問題も重大である。喫煙は「自傷他害行為」であり,家庭や職場,社会だけでなく学校においても喫煙による直接・間接の健康障害や火事・事故等に対する取り組みが求められており,それがその学校(大学)の評価にも繋がっている。中国学園では,これまでも禁煙活動に取り組んできた。アンケート調査や啓蒙活動,更に職員によるタバコの吸殻を含めた学園内清掃等が今でも毎日根気強く継続されている。筆者(医師)も,平成15年度からニコチン代替・置換療法(ニコチンパッチ)を含めた禁煙医療支援を継続している。今回は平成17年度の取り組みを中心に,その1年後までの経過を含めて概略(評価,問題点等)を述べる。(1)学内の禁煙医療支援によって禁煙成功率は高かった。(2)学生達の場合は若年者であるため喫煙年数が比較的短く,ニコチンパッチは短期間使用で成功する場合が多かった。ニコチンパッチのサイズも「中」以下でも良い場合が多かった。(3)かぶれ,頭部・腹部症状等の副反応が比較的多かったが,薬剤(パッチ)の減量・休止で対処できた。(4)家庭(家族)・職場・アルバイト先・大学(友人)等で喫煙環境から抜け出せない場合は,再度喫煙してしまう場合が比較的多かった。(5)喫煙の根底に精神的に重大な問題を抱えている場合は少なかった。(6)長期的で十分なフォローや禁煙失敗者の再挑戦への十分な支援は難しい場合もあるが,その点が最も大切である。(7)「ニコチン依存」に対してはニコチン代替療法を,「心理的依存(習慣)」に対しては行動療法(後述)を併用する事で禁煙成功を高めることができた。