呼称語の変容(米村司教授・サロジクマールチャウドリ教授退職記念号)
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概要
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呼称語は,対人関係用語とも言われているように,話し手と聞き手の位置関係や話の場を最も鋭敏に反映する言語分野であり,相手をいかに呼ぶかによって,その関係は近くもなれば遠くもなる。人間関係を和やかにさせるために,どんな社会においても,相手をどう呼ぶかについて,心配りをしている。近年,中国社会の変動は激しく,人々の価値観などにも目覚しい変化が起きている。言語は社会的事実であり,社会の鏡とも言われている。このような激変している時代において,呼称語の使用法にどのような変化があるかを調べるために,まず,中国の大学生の間における,中国語の呼称語の使い方について考察してみた。中国北京第二外国語学院日本語学部の学生100人を対象に,1994年1月と1999年1月の二回にわたって,呼称語についてアンケート調査を行った。その調査結果を見ると,いくつかの変化が見られたので,本文ではその変容を考えてみたい。