護国神社を事例とする,都市のシンボル的施設に対するイメージの変遷
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概要
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護国神社は,1939(昭和14)年に内務省によって制定された,東京都を除く一府県一社を原則にする指定護国神社の制度にもとづいている。ただし,伝統的に県内に複数の陸軍聯隊区がある県のなかには,県内1カ所にするのが難しかったところもある。岐阜県が岐阜・大垣・高山の3ヶ所,兵庫県が神戸・姫路,広島県が広島・福山,島根県が松江・浜田のそれぞれ2ヶ所が指定護国神社となった。また,北海道は函館・札幌・旭川の3カ所が指定護国神社となった。ひとたび,一府県一社の指定護国神社ができると,以前からあった県内の招魂社や招魂碑・招魂標などの一部は,指定護国神社へとつながる系譜で語られるようになる。このため,招魂社などがその設立時点で付与されていた意味が変容していくことに充分留意する必要がある。招魂社あるいは招魂場がつくられ,それが護国神社へと発展していく経緯や,戦後,護国神社をささえた制度がなくなったなかで,護国神社が保持されてきた点など,地域シンボル施設として各地の護国神社の変遷の事例を詳しくたどっていくと,興味深いことがみえてくる。本稿は,護国神社(招魂社)をひとつの手がかりとしながら,都市のシンボル的施設に対するイメージの変遷を,明治維新後の近代日本の都市の変化のなかで考えるものである。なお,本稿では護国神社成立以前の招魂社時代も含めて,個々の事例を示す場合に護国神社の名称を用いることもある。
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