生活構造と生活空間
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概要
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本稿の課題は、直接的には、生活構造と生活空間という二とおりの概念の規定をおこなうところにある。それらの規定は、のちには、地域社会という概念を規定するさいの前提でもある。これらの一連の作業を展開しなければならないと判断する理由は、現在の社会学における地域社会理論、地域問題理論が遭遇している困難が、それによって解決のみちをみいだすことができるのではないかとかんがえるところにある。その困難とは、地域社会理論が単なる社会理論に、地域問題理論が単なる社会問題理論に拡散してゆきがちな事情である。それらは、地域社会がもつ社会構造や地域問題がもつ社会問題的性格をとらえるかぎりではただしい。しかし、そこでは、対象がもつ地域性は見失われている。そうしてそれが見失われているということは、地域社会のなかで、地域問題の解決や予防にとりくむ住民運動の理論の構成に障害をもたらしている。したがって、これは、最終的には、住民運動の理論の構成をめざす研究の出発点でもある。
- 東京女子大学の論文