選択的COX-2阻害薬celecoxibが卵巣切除ラットの骨量と骨代謝回転に与える影響
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概要
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骨粗鬆症は更年期以降の女性に多く,その病態の解明と治療法の開発は歯科的にも重要である。本研究の目的は,卵巣摘出ラットにおける骨量減少と骨代謝回転の亢進を選択的COX-2阻害薬であるcelecoxibが抑制できるか否かを検証することである。8週齢のSD系雌ラット26匹に,両側卵巣摘出術(OVX)もしくは疑似手術(Sham)を施行し,それぞれ溶媒のみもしくはcelecoxib(20mg/kg/day)を5週間経口投与した。血液,脛骨,大腿骨,胃を摘出し,pQCT法による評価,組織学的観察,血中骨代謝マーカーの測定を行った。OVXラットでは,海綿骨の骨梁構造が消失し,連結性も低下しており,比較的重篤な骨粗鬆症を発症していた。OVXにより骨密度や骨強度指標は低下したが,celecoxib投与による差は認められなかった。一方,celecoxib投与により破骨細胞数と骨吸収マーカーであるI型コラーゲンC末端テロペプチドは減少した。しかし,OVXとcelecoxib投与の関連は認められなかった。本研究結果から,選択的COX-2阻害薬であるcelecoxibには,早期のエストロゲン欠乏による骨量の減少を防ぐ効果は認められなかったものの,破骨細胞の分化を抑制し,血中骨代謝マーカーレベルで骨吸収を抑制する作用があり,骨代謝治療薬としての可能性が示唆された。