血流および発汗調節に関する自律神経機能の顔面と四肢の差異について
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概要
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四肢体幹の皮膚における血管および汗腺は,交感神経のみによる支配を受け,副交感神経の支配を受けていない。一方,顔面皮膚における血管は,交感神経のみならず副交感神経の支配も受けていて,汗腺は,四肢体幹と同様交感神経のみの支配とされている。そこで本研究は,顔面と四肢での血流反応と発汗反応の違いを明らかにすることを目的として,被験者21名に血流および発汗を誘発させる刺激を与え,実験を行った。その結果,(1)息こらえ刺激による血流反応は,前腕で減少,顔面では血圧依存性の増加がみられ,発汗反応は,前腕,顔面ともに増加した。(2)手の錘負荷刺激による血流反応は,前腕で増加し,顔面では血圧と同調し大きく増加した。発汗反応は,前腕,顔面ともに増加した。(3)酸味刺激による血流反応は,前腕でわずかに増加,顔面では大きく増加した。発汗反応は,前腕,顔面ともに増加し,顔面の方が多かった。なお,血圧の変動はなかった。(4)辛味刺激における血流反応は,前腕でわずかに増加,顔面では大きく増加した。発汗反応は,前腕,顔面ともに増加した。なお,血圧の上昇を認めた。これらのことから,血流反応は,前腕では,交感神経の血管収縮作用が強いのに対し,顔面では,その作用は弱いことが示された。これは,顔面血管への副交感神経性血管拡張作用を助ける働きと推測された。一方,発汗反応は,顔面,四肢ともに交感神経による類似な作用があるものと考えられた。
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