自然免疫応答としてのマウスのヒスタミン合成酵素(HDC)誘導 : 特にNOD系リガンド前投与によるToll-like receptorを介するHDC産生の増強
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概要
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近年,細菌細胞壁ペプチドグリカン(PGN)の細胞内レセプターが証明された。すなわち,NOD1はmeso-diaminopimelic acid(meso-DAP)を含むペプチド構造を,NOD2は,ムラミルジペプチド(MDP)構造を認識する。MDPを前投与されたマウスでは,エンドトキシンに対する感受がが上昇することが知られている。本研究では,NOD系リガンドを前投与したBALB/cマウスにおける各種Toll-like receptor(TLR)リガンドによるヒスタミン合成酵素histidine decarboxylase(HDC)活性誘導を検討した。合成NOD系リガンド3標品単独でのHDC誘導活性はいずれも弱かったが,肺と肝臓に低レベルながら有意にHDC活性を誘導した。合成リピドA (TLR4リガンド),FSL-1(合成TLR2/6リガンド)およびPoly I:C(合成TLR3リガンド)も,単独で,HDC活性を誘導した。3種のNDO系リガンドは,リピドAの他,FSL-1,Poly I:CによるHDC活性誘導を増強するプライミング作用を示した。特にFK565は経口投与を含む様々な経路でもプライミング作用を示した。以上の知見は微生物感染の場ではTLR系分子とNOD系分子を介する刺激が組み合わされることによって,高レペルのHDC活性を誘導して,様々な臓器ならびに細胞レベルで強い炎症・免疫反応を導く可能性を示唆している。