養護実習における学生の適性感の分析 : 質問紙調査とインデプスインタビューによる検討
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概要
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本研究の目的は,養護実習における学生の志向性や適性感の変化,適性感を感じたことについて明らかにすることにある。本研究では適性感を感じた具体的内容や過程を理解するために,養護実習を行った学生31名を対象に質問紙調査を行い,その後10名を対象にインデプスインタビューを実施した。その結果,以下のことがらが得られた。1.志向性・適性感について実習前後で比較した結果,ともに実習後の方が高かった。養護実習における成功経験が適性を高めることがわかった。特に,子どもへの指導や他の教師との連携に関する成功経験が,適性感をより高める要因となることがうかがえた。2.【健康相談活動】【救急処置活動】【健康診断】等に関しては適性感を感じることが多く,【子どもへのかかわり・対応】についても適性を感じることが多かった。しかし,【教育的指導】については,適性を感じなかったことが多く挙げられた。【健康相談活動】【健康診断】の中でも,他の教師との連携や子どもへの指導については適性を感じられなかった。3.教職員と連携することや子どもへの指導について,実習生は苦慮したが,うまくできたときには適性感がより高まることがうかがえた。本研究のように,質問紙調査と聞き取り調査を併用することは,学生の心の動きやプロセスを詳細に把握することに有効であったと考える。養護教諭をめざす学生の力量の獲得と向上のために,充実した養成,適切な支援をしていきたい。