救済の境界 : イスラームにおける異教徒の救済
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
イスラームはアダム以来の全ての預言者の宗教であり、救済が「ムハンマドのウンマ」を越えて、全ての「一神教徒」に及ぶことは、宗派、学派の違いを超えたイスラームの合意事項である。ムハンマドの宣教以降については、ムハンマドのウンマを越えた救済の可能性については、スンナ派の「正統」アシュアリー派神学が、イスラームの宣教が届いていない者の救済を認めている。同派による異教徒の救済論は、外在的な妥協の産物、折衷策ではなく、思想の内在的な理論的要請から生まれたものである。私見によれば、同派の救済論の伝統を継承し深化発展させることこそが、将来のイスラームと他宗教の共存の神学的基礎となる。また宣教が届いていない者の救済を説く学説は、イスラームとの接触の歴史的が浅く、先祖への想いが強い国における宣教においては極めて重要な実践的帰結を有する。祖先供養の禁止は宣教の大きな障害となりうるからである。
著者
関連論文
- 救済の境界 : イスラームにおける異教徒の救済
- イスラーム研究のパラダイム転換 : オリエンタリズムから一神教学際研究へ
- 報告3.イスラームの立場から(一神教としてのユダヤ教・キリスト教・イスラーム-「原理主義」から見た相互認識-,テーマセッション1,2006年度学術大会・テーマセッション記録)