宗教の誕生時における暴力 : 古代近東文書に照らした出エジプト記19-40章
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概要
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ウガリットや北シリア、およびメソポタミアから発見された文書に関する詳細な研究により、古代イスラエルの宗教世界を新しく、またより深く理解することが可能となってきた。これらの文書を広範囲に研究した結果、研究者はイスラエルの宗教を歴史的な視野に配置することができ、また、信仰と礼拝の習慣および伝統の変化と発展の足跡をたどることができるようになっている。本論文において、筆者は、出エジプト記19-40章をイスラエル宗教の誕生時の祭儀活動を反映した文書として検討する。これらの活動は、紀元前二千年頃のEmarのアッカド語文書とアナトリア中央部のヒッタイト語文書に見られる祭儀慣習に照らして読まれる。このような読み方は、宗教指導者としてモーセの新しい特徴を明らかにし、出エジプト記のテキストの異なる層の相違点を浮き彫りにするものである。