ドイツ現代史にみる《普遍的価値》の再生(<特集>教育における「国家的価値」と「普遍的価値」)
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概要
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ナチ国家に否定された普遍的価値が反ナチ運動において、いかにして本来の意味をもちえたか、さらに戦後史のなかでいかに展開したかを究明することが本稿の主題である。これについて以下の三点から明らかにした。その一は、反ナチ思想を教育実践に込めたライヒヴァインの事例からである。つまり彼の活動の主眼が開かれた世界像の認識に裏づけられた「主体的自己」の基盤を育むことにあったことである。その二は、市民的抵抗者たちの反ナチズムが基本的にキリスト教ヒューマニズムに拠ってドイツ人をヒトラー崇拝の軛から解放(覚醒)することにあり、ドイツとヨーロッパとの和解を追求していたことである。その三は、1950年代に「良心の蜂起」として復権をみた反ナチ運動にたいして、「レーマー裁判」の判決が決定的な役割を果たし、そこに提示された「抵抗権」の思想が後の政治教育に重要な位置を占めたことである。
- 2007-12-28
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