「礼」について : 新渡戸稲造著『武士道』第六章を読む
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概要
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新渡戸稲造が欧米の読者を念頭において日本的な「礼」を論じるにあたっては,読者の教養に訴えて日本の文化をいわば西洋の伝統文化に照会しつつ論を進めているということがある。この執筆態度のうちにやや強引な牽強付会を見ることも可能かもしれない。また執筆の進行と展開において,彼の信仰が色濃く顔を覗かせているとも言えよう。しかし,丹念に彼の議論を追うと,彼の眼目は東西の文化の細目に現象する差異に拘泥することにはなく,むしろ礼儀の外的な振舞いの根底に横たわると想定される動機に遡って,礼儀の本質を見極めようとしていることが理解されるであろう。ここではそうした事柄の消息を以下新渡戸の著作『武士道-日本の魂』の第六章に的を絞って少しばかり考察を加えてみたい。Quand il, Nitobe, veut traiter les politesses japonaises, il se trouve une chose particuliere qu'il poursuit ses resits tout en presentant les contre-parties culturelles d'Europe et d'Amerique qui semblent aller de pair avec elles. On y pourrait voir une sorte de raisonnement tire par les cheveux. Ou bien on purrait supposer qu' il y ait un facteur qui exerce son influence sur l'argument force. Ce serait la religion chretienne de Nitobe.Mais, on peut aussi croire que le fait soi-meme qu'il se sert de la fasion de parler comme sha nous suggere de penser que les politesses d'Europe et d'Amerique peuvent bien aller de pair avec celles du Japon. Dans ce cas-la il nous semble que Nitobe fasse un effort pour voir un quelque chose d'universel grace a quoi nous nous entendions l'un l'autre.
- 2008-02-28
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