ゲノム異常解析から見た肺腺がんの分類(第21回日本肺癌学会肺癌ワークショップ)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的,研究方法.肺がんは未だに予後不良な腫瘍の一つであり,しかもその発生は本邦を含め世界的に増加傾向にある.肺がんは病理組織学的に多彩な組織像を呈することが知られているが,その本態であるゲノム異常については未だ全貌は明らかではない.肺腺がん切除標本における染色体構造異常をゲノム全体に亘って網羅的に解析するために,臨床検体からマイクロダイセクションによりがん細胞のみを選別し,800個のがん関連遺伝子を搭載したアレイを用いたアレイCGH解析を行った.結果.肺腺がん55症例を解析し,高頻度増幅やホモ欠失領域を含め,多数のゲノム異常を検出した.ゲノム異常の組み合わせにより肺腺がんを3つに分類したところ,喫煙歴,性別,EGFR(上皮増殖因子受容体)遺伝子異常の頻度と相関した.またEGFR遺伝子異常の有無と相関するようなゲノム異常を同定できた.結論.肺腺がんには,性別や喫煙歴と相関するような複数の分子発がん過程が並列して存在していることが示唆された.がんのゲノムプロファイリングにより,新しい発がん過程の多様性が明らかになり,新しい予後マーカーや治療標的の同定に有用であると考えられた.
- 日本肺癌学会の論文
- 2007-12-20
著者
関連論文
- PD-9-5 21遺伝子発現プロファイルを用いたリスク分類は乳癌術前内分泌療法の効果予測において病理診断を超えられるか(遺伝子解析および分子生物学的手法を用いた乳癌リスク分類は病理診断を超えられるか,パネルディスカッション,第110回日本外科学会定期学術集会)
- P-415 Use of a cytokine gene expression signature in lung adenocarcinoma and the surrounding tissue
- 膵 Solid-pseudopapillary tumor 14例の検討 : 女性優位の疾患か?(第60回日本消化器外科学会定期学術総会)
- APP-037 前がん段階にある尿路上皮ならびに尿路上皮がんにおけるDNAメチル化プロファイル : DNAメチル化状態に基づく発がんリスク評価と病態診断(発表・討論,総会賞応募ポスター,第98回日本泌尿器科学総会)
- ゲノムアレイ解析の新展開 高密度ゲノムアレイにより急速に進化する癌ゲノム解析 (特集 ゲノム創薬・疾患診断を実現する 新世代マイクロアレイ)
- ゲノム異常解析から見た肺腺がんの分類(第21回日本肺癌学会肺癌ワークショップ)
- がんにおける細胞間接着の破綻
- Topics of HCC 国際共同研究によって大きく推進される肝臓癌ゲノム解析
- 遺伝子診断 肺癌の遺伝子診断 (肺癌--基礎・臨床研究のアップデート) -- (臨床研究 診断)
- P-088 ゲノム中のDNA修飾部位の特定方法の検討(ポスターセッション)
- P-028 職業性胆管がん発生に関与するハロゲン系炭化水素のDNA付加体の網羅的な解析(アダクトーム解析)(ポスターセッション)