オーキシン受容体TIR1とオーキシンシグナル伝達
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
オーキシンは胚発生,維管束形成,葉や花の分化,根の形成といった植物の生長を多岐に渡って制御する重要な植物ホルモンである.オーキシンシグナル伝達の分子遺伝学的研究から,オーキシンによる遺伝子発現はSCF^<TIR1>という複合体がAux/IAAと名付けられた転写抑制因子をホルモン依存的に分解することで誘導されることが明らかとなった.しかしながら,オーキシン受容体や受容から転写制御に至るシグナル伝達経路についてはよく解っていない.また,オーキシン受容体の唯一の有力な候補因子としてABP1が単離されていたが,このタンパク質がオーキシンを介した遺伝子発現制御に関与する証拠も得られていなかった.近年,新たなオーキシン受容体が同定され,それがSCF^<TIR1>複合体のF-boxタンパク質TIR1であることが報告された.オーキシンは植物の生長を多面的に制御しているにも関わらず,今回の発見はオーキシンの受容から遺伝子発現に至るシグナル伝達経路は非常にシンプルな経路であることを示している.
- 2007-05-31