同位体組成からわかる彗星塵の形成環境 : NanoSIMSによる同位体イメージング(<特集>スターダスト探査が解き明かす原始太陽系の姿)
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概要
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NanoSIMSを用いた二次元同位体イメージング法によりヴィルト2彗星塵試料中の各相(数十から数百nmの細粒の鉱物や炭素質物質)の高精度・高空間分解能同位体測定を行った.その結果,ほとんどの試料の水素,炭素,窒素,酸素の同位体組成は太陽系固体物質のこれまでの研究結果と非常に近かった.酸素同位体組成が際立って異なる事が特徴である太陽系前駆物質(プレソーラー粒子)は彗星塵中に1つしか発見されず,その存在は非常に稀である事がわかった.しかしながらサブミクロンスケールレベルでみると,炭素質物質の中に極低温(〜20K)の星間分子雲内での化学反応により形成されうる水素と窒素の同位体異常が見られた.これにより,ヴィルト2彗星を構成する炭素質物質の中には太陽系形成以前の冷たい分子雲ガスの情報を保持しているものがあると解釈できる.以上の事は,原始太陽近傍で形成されたケイ酸塩鉱物のような高温物質がXウィンドにより原始太陽系円盤の外縁部まで飛ばされ,そこにあった星間分子雲起源の有機物質と混合するプロセスがあった事を示唆している.
- 2007-12-25
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