シスチン/テアニン投与による抗原特異的なIgG抗体産生の増強(免疫学)
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概要
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ヒトMφを用いたin vitor系で,シスチンとグルタミン酸の同時添加は,単独添加と比較して免疫機能に影響を及ぼすグルタチオン(GSH)の合成を増加させる.経口摂取したグルタミン酸は腸管で代謝されることから,主に肝臓でグルタミン酸に代謝されるテアニン(γ-グルタミルエチルアミド)が,in vivoへのグルタミン酸供与体として機能するのではと考えられた.そこで本研究では,シスチンと(もしくは)テアニンの経口投与が生体内GSHレベルと免疫応答に及ぼす影響について検討した.抗原刺激前11日間のシスチン(200mg/kg)とテアニン(80mg/kg)の投与は,抗原刺激6時間後の肝臓の総GSH量を増加させた.そこで次に,シスチンと(もしくは)テアニンの投与がTヘルパー(Th)1/Th2細胞のバランスに及ぼす影響について調べた.Th1サイトカインであるインターフェロン(IFN)-γとTh2サイトカインであるインターロイキン(IL)-10の血中の比を解析したところ,抗原刺激24時間後,同時投与ではIL-10/IFN-γ比が上昇した.この結果から抗体産生について解析したところ,一次抗原刺激前の同時投与で血中の抗原特異的なIgG抗体産生が増強することが明らかとなった.以上の結果から,シスチンとテアニンの同時投与は,GSHレベルとTh2応答の上昇を介して,抗原特異的なIgG抗体産生を増強すると考えられた.
- 2007-12-25