簿記教育におけるキャッシュ・フロー計算書の位置づけについて
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概要
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2000年3月期以降,日本においてもキャッシュ・フロー計算書が導入され,その内容は会計学教育の中でも主要なトピックスとして定着している。しかしながら会計学の導入期教育としての役割が期待される複式簿記の教材においては,依然として貸借対照表と損益計算書だけが主要な財務諸表として登場し,キャッシュ・フロー計算書はまったく取り上げられていない。その理由の一つはキャッシュ・フロー計算書が証券取引法によって連結ベースでの開示が義務付けられているのであり,会社法の規定によるのではないことにも求められよう。しかしながら,キャッシュ・フロー概念を発生主義会計による純利益と対比して教育することは,複式簿記の基礎理解にも大きく資すると思われる。また,基礎的なキャッシュ・フローの計算原理を複式簿記の体系の中で扱うことにも大きな意味があると思われる。