キャッチコピーで文学しよう : 書店・図書館とのコラボレーション
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概要
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本実践は,生徒の選書に関する知識や技能の幅を広げ,読書をめぐる豊かなコミュニケーション体験を積ませることにより,生徒をより一層読書好きにさせることを目指して取り組んだものである。それによって,文学作品の魅力を感じ取ったり分析したりしながら,作品まるごとを深く読み味わう力を伸ばすことも考えた。そこで,本単元では,三省堂神田本店,リブロ池袋店,小石川図書館の協力を得て,書店や図書館のニーズに応じて文庫本のキャッチコピーやボディコピーを作り,競合的なプレゼンテーションを行うという場を設定することによって,さまざまな選書の方法や,読書,特に文学読書をめぐるコミュニケーションを学ばせることができるよう工夫した。特にキャッチコピーとボディコピーを入れたポップを作る活動を通して,キャッチコピーで文学すること,つまり,それらを使っていかに文学作品を読み深め,読み味わい,文学的な表現を生み出し楽しむかを追求した。プレゼンテーション当日は,書店や図書館の方に依頼者(判定者)として参加していただいた。プレゼンテーション後の質疑応答では,キャッチコピーやボディコピーをめぐって,豊かな文学や読書に関するコミュニケーションが営まれた。プレゼンテーション終了後,キャッチコピー・ボディコピーは,実際にポップに仕上げて書店や図書館に掲示していただいた。生徒は学習過程全体を通して非常に意欲的に取り組み,学習後の振り返りでは,選書の幅が広がり,新しい読書の楽しみを発見したという感想が多数認められた。