授業「脳死・臓器移植を考える」 : 社会科と保健科で取り組んだ授業実践
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概要
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本論は,中学生を対象に「脳死・臓器移植」について,社会科と保健科で取り組んだ授業実践の報告である。臓器移植法が成立し,脳死状態での臓器の摘出・移植が行われるようになった。臓器提供意志表示(ドナーカード)は15歳からを対象にしている。脳死を認めるのかどうか,臓器を提供するのかどうかは大人だけの問題だけでなく,中学生にとっても迫られている問題である。そこでこのテーマを社会科と保健科の教科で開講したのである。教材はNHKで放映されたビデオである。少人数のクラスを設定し,仲間との討論や意見交流をメインに据えた。授業後の生徒の感想やアンケートの結果から,中学生でも十分関心をもってとりくめるテーマであること,ビデオや仲間の意見などによって,考えや思考が深まることなどが明らかになった。また教科を越えてテーマを設定することは,生徒達にも受け入れられていること,このような学際的,総合的なテーマについて生徒達の学ぶ意欲があることなどがわかった。この実践から,これまで扱われてこなかった現代的なテーマを取り上げるにあたって,保健科の授業の中で体や臓器の仕組みや機能についてどのように学習する機会を設定するのかなど,保健科の教育内容など課題が明らかになった。さらにT・Tで取り組む授業のありかたについても大きな成果を得た。
著者
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