日本の社会保障パラダイムの構造
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概要
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PARADIGMという語は、本来、模範もしくは動詞活用表の意味があるが、Kuhnが科学史研究の中で或時代における自然科学における一定の思考の枠組みとして最初に使用している。それは、科学的な解析のために共有する「模範例」と呼ばれる概念である。ここから、二つの意味が導き出される。一つは、「類似性の基準としての」発見される対応規則である。もう一つは、こうした概念を共有する「科学者集団」である。社会科学では、パラダイムの意味が拡張されていく。Kuhnのいう「科学者集団が共有する概念」は、一般的な理論上の視点を意味するようになった。制度的なパラダイム(例えば政治制度)を解釈する学派とその理論的立脚点がパラダイムとなる。制度論では、制度のパラダイムは、一般的に「政策や制度を方向付けている思想や判断基準(政策を支える価値判断を含む認識の準拠枠)」と定義される。社会保障制度を例に検討すると、社会保障制度のパラダイムは、「社会保障制度全体の方向を規定している精神や思考(設計思想)と、そこから形成された一定の構造と機能を持つ枠組み」と定義できる。日本の場合、1965年パラダイムは、戦前からの連続が見られる。それは、国民資源主義、集団利益保存主義、国家責任最小主義の3フェーズ構造となっている。このパラダイムの転換が急務である。
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