American AdamとしてのHuck Finn
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
M. TwainのAdventures of Huckleberry Finnが出版されたのは,1884年であった。時代は南北戦争をはさんで大きく変わろうとしていた。1890年にはフロンティアは消滅したと宣言され,自然というアメリカの根源的な力ははやくも失われてしまっていた。一方,18世紀イギリスに端を発した産業主義は,当時アメリカにあっていよいよ隆盛の一途をたどり,南北戦争後の四分の一世紀は金メッキ時代といわれていた。このような時代背景に生まれたこの小説の主人公Huck Finnは,今でもアメリカ人の郷愁をさそうものがある。いや,郷愁をさそうというものより,アメリカ人の原型(モデル)そのものであると云っても過言ではあるまい。アメリカ人の原型(モデル)というのは,云いかえればアメリカのAdamである。つまり,自己存在の確認と云ってもよいであろう。アメリカの精神形成過程は現代に至るまで,否,今後ともアメリカのAdamの探求にあると云ってよいであろう。本稿は,Adventures of Huckleberry Finnが,アメリカの永遠のテーマ,Adamの探求とどのように関わっているかについて追求してみるものである。
著者
関連論文
- AndrogyneとしてのHeathcliff : Wuthering Heightsに関するfeminism的一考察
- American AdamとしてのHuck Finn
- Ngugi Wa Thiong'oの「The Martyr」にみる再生の条件