都の錦作片仮名本『内侍所』筆蹟考(吉田永宏教授古稀記念特集)
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概要
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西鶴没後の浮世草子界において、「異色ある作者として逸することは出来ない」(野間光辰氏)と評される都の錦には、赤穂義士小説『内侍所』(実録体小説)の作もある。架蔵の片仮名本『内侍所』は都の錦の識語(奥書)を有する。この片仮名本書写者を都の錦自身と考証し、更に作品の文学的な意義を論じた稿を『近世文藝』(日本近世文学会)に投じたところ、編集委員会からは筆蹟考証の部分に意を尽くさぬところがあるとして、更に詳説する必要を指摘された。そこで、紙幅の都合もあり、同誌には作品論の部分に絞って再提出し、考証部分は増補改稿して本誌に掲載することとなった。右の経緯により、本稿は『近世文藝』八十五号掲載の拙稿「都の錦作片仮名本『内侍所』論」の考証編に相当するものとなる。