3 量子力学の変形と変更について(I)
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概要
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量子力学はずつと以前に確立されたものであり,そのものとしては問題はもはやあまりないようにみえるが,必ずしもそうではない。我々は量子力学に慣れて,量子力学という文法でしか語り得ず,量子力学のpatternでしかものが考えられなくなつているが,この点をもう一度いろんな面から反省してみる必要が生じて来ているようである。一般的に云つて量子力学そのものについてなお次のような基本的な問題が考えうる。それは,量子力学を新しい形にformulateしその理論構造を新しい角度から見直すこと,量子力学の解釈の仕直しを試みること,量子力学そのもの-即ちその物理的内容-に修正・変更を加えること,の三点である。それらは一応別個の観点からの問題のたて方であるが,勿論相互に密接に関連し重り合うものである。たとえば量子力学の変更ということは,当然そのformalismの変更を意味すると同時に, formalismの背後にある概念, formalismに対する物理的意味づけの仕方,さらに解釈問題などにおける変更をも伴うと考えられる。さて今あげたような種類の問題については実際近年いろんな試みがなされている。以下でこれらの問題について若干の考察を述べたいと思う。そのさいあまり細かい数学的な議論に入ることはやめて,むしろ問題の提起,理論の性格とその批判,理論の方向と方法,といつたことを中心にのべることにするので,話がやゝ漠然とする点があるのはさけがたいし,また色々あげた個々の問題点をさらにつゝこんで追及し具体化してゆくことに及んでいないが,それはむしろ今後の問題といえる。なお理論の方向といつたことを考えるさいには科学史的な見方を参考にすることを考慮してみたいと思う。
- 素粒子論グループ 素粒子研究編集部の論文
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