低合金鋼における引張変形と疲労変形による微細組織および磁気特性の変化(力学特性)
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概要
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引張変形および疲労変形した鋼において,磁気測定と転位組織観察を行った。引張変形によってセル組織が形成され,セル組織の発達と共にセル内部の転位密度が増加した。疲労変形によってはセル構造が形成,発達するもののセル内部の転位密度はほとんど変化しなかった。変形によって形成されたセル組織が磁気的物理量に与える影響も考慮して定量的に評価するため,セル壁を構成する転位も考慮した全転位密度ρ_tを測定した。磁気的物理量である保磁力H_cと磁化率の係数cについて,H_c∝ρ_<1/2>,c∝ρ_tの関係が疲労変形と引張変形どちらでも成り立つことを明らかにした。引張変形と疲労変形した場合での磁気的物理量と全転位密度の相関より,保磁力に対しての影響度は均一に分布する転位とグループ化した転位はほぼ同等であり,磁化率の係数cに与える影響度は異なると推定できる。本研究によって磁気的物理量の保磁力Hcと磁化率の係数cは転位組織の変化を反映し,且つ全転位密度と単純な関係を示すことが分かった。このことより磁気測定による転位組織の非破壊検査は可能であると考えられる。
- 社団法人日本鉄鋼協会の論文
- 2008-02-01
著者
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