京都商人杉浦大黒屋の別家制度 (2) : 勤番に関する検討
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概要
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前号(78号)に引き続き、京都商人杉浦大黒屋の別家制度について検討したものである。江戸期の商家大店では、経営規模の拡大や業務の多様化・複雑化に伴い、店舗の管理業務は経験を積んだ上級の奉公人に委ねられていった。杉浦大黒屋では、店舗の最高責任者として支配役が各店舗におかれたが、この支配役を退役した者は別家の列に加えられ、勤番(経営幹部)として各店舗に配属された。現時点では、少なくとも4代の時期には、支配役退役者に対して勤番就任が義務付けられていたことが認められる。本稿は、杉浦大黒屋における経営委任の仕組みを、勤番の実態検証を通して明らかにしたものである。