たこつぼ型心筋症による術後心不全を合併した胃癌の1例
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概要
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症例は84歳の女性で,上腹部の鈍痛を主訴に近医を受診し,上部消化管内視鏡検査にて胃幽門部に全周性の腫瘍を認め,スキルス型胃癌と診断され当院に紹介となった.手術は幽門側胃切除術+Billroth II法による再建を行った.術後経過は良好であったが術後23日目に入浴後に,38℃台の発熱,咳を認め胸水貯留,肺水腫による呼吸困難のため胸腔ドレーンを挿入し人工呼吸管理を行った.心エコーでは心尖部から前後壁にかけて広範囲にakinesisを呈していた.心電図ではV3,V4のST上昇,V1-V3でQSパターンを認め血清トロポニン値は陽性であり急性心筋梗塞による心不全と診断し,心不全に対する治療を開始した.その後,CKの上昇も認められず,2週間後の心エコーでは左室壁運動は正常化し"たこつぼ型"心筋症と考えられた.本疾患は多種のストレスとの関連が指摘されており外科医も認知すべき疾患と考えられたので報告する.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2008-01-01