デフォルト実績データによるデフォルト依存関係の推定 : 2ファクターモデルによるアセット相関の最尤推定
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概要
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本論では,デフォルト実績データを用いたデフォルト依存関係の推定を論じる.債務者の信用力を代理する潜在変数の変動モデルとして正規分布の2ファクターモデルを用い,債務者の属するカテゴリ内外の相関を考慮できるようにした.さらに複数カテゴリ間の相関に単純化の仮定を加えて,アセット相関を表すファクター負荷の最尤法による推定計算を実装した.モンテカルロ法による推定値の頑強性の検討および実際の日本のカテゴリ別デフォルトデータを用いた実証分析により,この方法は既存の方法より計算負荷が少なく,また実際の推定を前提としてもカテゴリを考慮しないモデルより頑強であることが確認できた.このことはあるカテゴリ内の債務者間の相関(カテゴリ内相関)のみを推定する目的においても,カテゴリ間相関の推定を通じて他のカテゴリの情報も用い推定することが重要であることを示している.
- 社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文