信頼性の危機と維持 : 1961年国連中国代表権問題をめぐる米華関係
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概要
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本稿は,1961年の国連中国代表権問題をめぐる米華問における信頼性の危機について考察する。1961年に国府国連議席の確保は危ぶまれていた。さらに,国府はモンゴルの国連加盟を拒否し,これと一括されたモーリタニアの加盟も阻むことで,アフリカ諸国の支持も失おうとしていた。アメリカの説得にも関わらず,国府はモンゴル加盟拒否に執着した。蒋介石は,ケネディ政権が「二つの中国」政策を追求していると懐疑し,その「信頼性」を疑っていたからである。ケネディは蒋介石の疑念を解消するため,秘密裏に中国国連加盟に対する拒否権行使を確約した。これにより国府はモンゴル加盟の黙認を決定し,国連議席の維持を成し遂げたのである。
- 2007-12-25