ナンセン(nang zan)考 : チベット旧社会における家内労働者の実態をめぐって
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概要
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かつてのダライラマ政権の統治下のチベットにはナンセン(nang zan)と呼ばれる人々がいた。今日の中国の歴史記述においてナンセンは最下層の「家内奴隷」とされ,彼(女)らはチベット旧社会の「暗黒の封建農奴制」に苦しめられていた人民の象徴とされている。本稿は1959年以前の同時代資料やインタビューなどによってこのナンセンの実態を明らかにすることを目指したものである。探求の結果としてナンセンとは「家内労働者」という「職業的特性」を指す言葉であり「身分」を指す言葉ではなかったこと,これを身分と同一視した過去の研究がカテゴリー・ミステイキングを犯していたことが明らかにされた。
- 社団法人中国研究所の論文
- 2007-12-25
著者
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