クエーカーの普遍贖罪論における自由意志の問題 : R. バークレーのApology (『弁明』)を中心に
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概要
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バークレー神学で展開される普遍贖罪論は、正統派カルヴィニズムの二重予定説に対抗する形で、「内なる光」、「主の訪れの日」、「反抗しない、受動性」という三つの概念によって展開される。しかし、特にこの「受動性」という概念を巡って、バークレー神学の評価は大きく分かれる。本稿では、彼の思想の持つ意義を、当時の神学的思想的状況の中で批判的に考察することによって解明する。考察の結果として分かるのは、「反抗しない」という事態は「信仰さえも求めない」程に徹底した受動性を意味し、神の働きかけに対して魂の扉を開けるという積極的意義を持つことである。それ故、フォックスと同様に、彼はあくまで神の働きかけを深い沈黙の内に待ち望むべきと説くのである。よって、バークレー神学は、消極的態度の根源であるとの従来の評価とは異なり、クエーカーの素朴なメッセージを保持することに重要な役割を果たしたと言えるだろう。
- 同志社大学の論文